今回は、文章表現を豊かにする技法のひとつを解説します。
比喩(メタファー)とは、一般的にある物事を別のものにたとえて表現することです。ただ、比喩表現と一口に言っても様々な種類があります。
1.直喩(Simile) : 直喩は、2つの異なる相違やアイデアを比較するために「〜のようだ」や「〜のように」などの比較表現を置き換える修辞技法です。 「のように明るい」のように、2つのものを比較しています。
例文:この電灯の光は、太陽のように明るい。
2.隠喩(Metaphor) : 隠喩は、直喩とは違う、「〜は〜だ」のように直接的な比較をせず、代わりに一つの考えやアイデアを別のものに置き換える表現修辞技法です。
例文:彼の決意は、鋼のように固い。
3.諷喩 : 諷喩は、たとえだけを提示して、その本義は間接的に表現する修辞技法です。 「イソップ物語」のようなものがその代表です。
4.活喩 : 活喩は、無生物のものに対して擬人的に表現する技法です。「擬人法」とも言われます。
5.換喩 : 換喩は、ある事物と密接な関係にあるものを提示して、その事物を表現する技法です。例えば、神社には鳥居が必ずあるので、「鳥居をくぐる」と表現するだけで、その場所が「神社である」ことを想起させるような表現です。
6.引喩 : 引喩は、作家やことわざを引用することによって自身の考えを表現する技法です。
7.張喩 : 張喩は、物事を誇張していうことで、その事実を極小化したり極大化したりする技法のことです。
8.声喩(オノマトペ) : 声喩は、自然音など字で表現する技法です。「扉を『ドンドン』と叩いた」などがそれにあたります。
9.字喩 : 字喩は、文字の形状に着目して趣を持たせる表現です。「『人』という字は二人の人が支え合っている状態」というのがこれにあたるでしょうか。
10.詞喩(ダジャレ) : 詞喩は、一つの語句の中に、二重の意味合いをもたせる表現技法のことです。
11.類楡(Paronomasia) : 類楡は、関連した言葉を並べることで、ある物事を浮かび上がらせる表現のことです。たとえば「波、潮、満ち引き、深い」などの言葉を並べた結果「海」を連想するようなことです。
以上が、主だった比喩技法の種類です。まだまだ文章を構成するものは様々ありますので、今後お伝えしていきます!